MUSIQUE ET CHANTS DU KULLASUYU

“カンタティ” （アイマラ語で“夜明け”の意）はボリビア・マンタにも参加しているペドロ・コンドリを中心とするグループで、フランスを拠点として活動しているようです。アルバムの制作時期はジャケット裏の紹介文が1991年付であることから、ボリビア・マンタの成功を受け、まだ盛んに南米アーティストがヨーロッパに渡っていたこの頃の録音であると思われます。
いわゆる“出稼ぎ”音楽家の多くが長く異国で生活するうちに汎アンデス的な演奏に陥りがちなのに対し、彼らのこのアルバムは全曲自国ボリビアの音、それも伝統曲とそれに根ざしたオリジナル曲を中心に構成されています。シクリアーダ、タルケアーダ、ピンキジャーダなどのアウトクトナ演奏も迫力充分、ポトシやクリオージャ音楽の泣き節、ネオ・フォルクローレの楽曲の出来とそれらのアルバム構成も素晴らしく、ヨーロッパ発のインディペンデント制作としては傑出した仕上がりとなっています。