エクアドルのほぼ中央部に位置するこの国の最高峰“チンボラソ”山(地図参照)。頂に万年雪をいだいた威風堂々としたその姿から周辺住民はこの山を敬意を込めて“タイタ・チンボラソ”(“タイタ”はキチュア語で“父”を意味します)と呼びます。
このアルバムは1999年からスタートしたチンボラソ県による先住民族の研究・調査及び能力開発を目的とする同名のプロジェクトの一環として、ベルギーのNGO組織“イスラス・デ・パス”等の協力を得て制作された作品で、周辺の村々から演奏家やグループが参加しこの地域に存在する様々なメロディーとリズムの研究の末に生み出された成果が収められています。
エクアドルの音楽といえばオタバロ周辺のものはようやく日本にも紹介されるようになりましたがこの地域の音源はまだまだ少なく資料として興味深いのみならず、ディレクションとアレンジを手がける“ウイリアム・グンカイ”による手腕がこれら素材を単なるドキュメンタリー的な寄せ集めに終わらせず、統一感のある実に魅力的な作品として昇華させてくれています。
ジャケットのイラストに象徴されるチンボラソ山の懐に抱かれ暮らす人々によるまるでおとぎ話を聞いているかの様な音楽集。CD棚にまた一つ、音の宝物が増えました。大推薦!